作家紹介

布絵作家・皆川末子さんの活動とその軌跡をご紹介します。 布絵作家・皆川末子さんの
活動とその軌跡をご紹介します。

皆川末子
Sueko Minakawa

1947年茨城県水戸市生まれ。
幼少の頃より絵心を持ち、高校時代には東京へ通いデザインの勉強をする。結婚後、カメラマンの夫と76年に水戸市内にフォト・スタジオをオープン。子供の誕生を契機に「この子に手作りのものを与えてあげたい」という想いから布で絵を描くことを発想。 以来、顔料(絵の具)の代わりに着物や帯、手拭い、浴衣といった日本の古布で日本画を描く独自の世界「布絵」の制作活動を始め、今や作品総数は250点以上に及ぶ。

作品のテーマは、民話・おとぎ話・歳時記・子供の遊びといった日本の伝統的な文化や情緒を表現したもののほか外国人女性を登場させた国際交流シリーズなどもある。また近年は自らの心情を女性に託したメッセージシリーズを意欲的に制作、共感の輪が広がっている。ここ30年ほどの間に国内外で積極的に作品を発表。初の個展がNHKテレビで放送されたのをきっかけに新聞をはじめ、各マスコミに取り上げられるようになり、「布絵」の知名度とともに作品は広く知られるようになってきた。

オランダ・ハンガリー・チェコ・アメリカ・オーストラリアといった海外でも作品展を開催。大きな反響を呼ぶとともに「布絵」による国際交流の輪の広がりにも貢献している。現在は個展の開催・制作活動のほか、「布絵」の技術を後世まで残していこうと「布絵教室」も展開している。茨城県水戸市在住。

活動・略歴

長年にわたる皆川末子さんの
布絵の活動とその軌跡を
ご紹介します。

1990年
2月
常陽銀行本店(茨城県水戸市)にて初の「布絵展」を開催。
NHKイブニングネットワークで放映。ラジオ・新聞各社にて紹介される。
1992年
6月
茨城県住宅供給公社・新設ギャラリーのこけら落としとして「布絵展」を開催。
8月 水戸青年会議所創設の「水戸まちづくり大賞」にてグランプリを受賞。
11月 日本青年会議所「もったいない運動・ワールドコンテスト」の最終審査へノミネート。
1994年
3月
NHKすいとぴあギャラリーにて「布絵展」を」開催。
NHK番組にて関東1都6県に放映される。
10月 水戸NHKギャラリー1周年記念にて、NHKの村松アナウンサーが「布絵」を紹介。
1996年
1月
西武百貨店筑波店(茨城県つくば市)にて「布絵展」開催。
3月 オランダのアウトホルーンにて「布絵展」を開催。(海外初)
オランダ・ホテルオークラのロビーに「布絵」を展示。同国内の障害者施設を慰問。オランダの新聞各社に取材され、「NUNO-E」として紹介される。
12月 WTT会(池田元外務大臣夫人を中心とした国際交流会)のパーティ会場にて「布絵」を披露。
1997年
3月
オランダ大使館(東京都)にて「布絵」を披露。
オランダ・アウトホルーン市にて2回目の「布絵展」を開催。
外務省・飯倉公館にて開かれたWTT会に招待され出席する。
5月 ハンガリー大使館(東京都)にて「布絵」を披露。
8月 ハンガリーのシュプロンにて「布絵展」を開催。
ブタペストの日本人学校と交流。ハンガリーのテレビや新聞各社に取材され、同国内に紹介される。
1998年
1月
日本チェコ・日本スロバキア協会の新年会に招待出席し、「布絵」を展示する。
12月 日本ヴォーグ社発行の「キルトジャパン」新年号にて紹介される。
水戸ユネスコ祭'98(茨城県水戸市)にて「布絵」を展示。
1999年
3月
1999 国際交流 in SETAGAYA(東京都)にて「布絵」を展示。
6月 水戸ロータリークラブにて「布絵の世界」を講演。
6月 千恵子式着物ファッションショーにて会場壁面部の「布絵による装飾」を担当する。
12月 NHK番組内の1都6県「いきいきウーマン」コーナーにて「布絵」と「作者」が紹介される。
2000年
1月
西武百貨店船橋店(千葉県船橋市)にて全作品100点を集めた「布絵展」が開催される。
6月 武双山関(現在藤島親方)、大関昇進記念「化粧回し」のデザインを担当。
6月 アシェット婦人画報「美しいキモノ」主催パーティにて「布絵」をブース展示。
2001年
9月
日本女性会議2001みとにて、「布絵」を展示。
2001年
10月
チェコのプラハにて「布絵展」を開催。チェコのTVに生出演する。
2002年
1月
銀座・三越「和のキルト展」にて、「布絵」を展示。
29月 アメリカ・ロサンジェルスのホテルオークラにて「布絵ロビー展」を開催。
2003年
3月
2003 国際交流 in SETAGAYA(東京都)にて「布絵」を展示。
9月 オーストラリアのアデレードにて、「布絵展」を開催。
10月 銀座・アートスペースギャラリーにて「布絵展」を開催。
2004年
2月
日本ヴォーグ社発行の「キルトジャパン」に特集記事が掲載される。
6月 特別老人ホーム「マリアン」の壁面デザインを担当。(特注の布絵を制作)
※見学に関するお問い合せ ローズヴィラ水戸:029(254)8111
12月 チェコ大使館(東京都)Xmasパーティ「布絵」を披露。
2005年
1月
NHK水戸デジタル「いばらきわいわいスタジオ」にて布絵が紹介される。
2月 NHK水戸放送局ギャラリーにて「布絵の世界~緋色の誘い」展示。
4月 「和で遊ぶ布の祭典」赤坂プリンスホテル「布絵」展示。
6月 NHK「茨城スペシャル・茨城の女流作家」出演。
11月 イオン水戸内原「イオンホール・オープニング」こけら落とし「布絵展」開催。
2006年
11月
イオン水戸内原SC・1周年記念イベント「布絵展」開催。
2007年
1月
日経BP社「日経ビジネス」にて紹介される。
3月 NHK「ゆうどきネットワーク」他で布絵が紹介される。
4月 西武百貨店筑波店(茨城県つくば市)にて「布絵展~三十枚の分身たち」が開催される。
10月 イオンモール千葉ニュータウンにて「布絵展」開催。
2008年
1月
岐阜・アクティブGにて「布絵の世界展」を開催。15,000人を動員。
2月~3月 熱烈な要望に応え、岐阜 シティ・タワー43にて「続・布絵の世界展」を開催。50日の会期で、66,000人の動員を記録する。
2009年
12月
アメリカ・テネシー州のこども博物館にて「布絵展」を開催。
2010年
3月
岩手県北上市にて東北地方では初めてとなる「布絵の世界展」を開催。地元のメディアにも大々的にとりあげられる。
2010年
11月
さしま郷土館ミューズ(茨城県坂東市)にて、約70日に渡り、「布絵の世界展」を開催、好評を得る。
2012年
1月
チェコプラハ市立語学学校にて、日本大使館後援のもと、「布絵展」を開催。
2012年
3月
東日本大震災からの復興を祈念して、岩手県北上市にて当地では2回目となる「続・布絵展」を開催し、交流を深める。
2012年
9月
学研刊「古布に魅せられた暮らし~手づくりを楽しむ号 其の三」にて紹介される。
2013年
5月
西武筑波店(茨城県つくば市)にて、布絵創作活動30周年を記念した「布絵の世界展2013」が開催される。
2014年
1月
テレビ朝日「情報満載ライブショー モーニングバード!」の「Gウーマン」コーナーにて「布絵」と「作者」が紹介され、全国から大きな反響を呼ぶ。
2016年
5月
英国・ロンドンにて、日本の美術を紹介する展覧会「Discover the one Japanese Art」に出品し、好評を得る。
2017年
4月
障害のある方のつづった詩をもとに、ハートをモチーフに表現したアート作品とを組み合わせた「第22回NHKハート展」に参加。
5月 千葉県香取市の佐原地区にある石蔵にて、「布絵展 in 小江戸・佐原~緋色の誘い」を開催。
9月 新潟県十日町市にて、北陸地方では初めてとなる、きものの街のキルト展・秋の企画展「布絵の世界」が開催される。(クロアチア大使夫妻来場)
2018年
9月
NHK総合「おはよう日本」にて、「布絵」と「作者」が紹介される。
2019年
1月
茨城空港にて海外からのお客様へのおもてなしの一環として「布絵」を展示し、国際交流に貢献する。
2021年
10月~12月
しもだて美術館(茨城県筑西市)にて「布絵の世界展」を開催。
2ヶ月にわたり70点以上を展示。
2022年
5月
新潟県十日町にて、2回目となる、きものの街のキルト展・特設展「布絵作家・皆川末子作品展」を開催。

作家メッセージ

「布絵」とは、絵の具や顔料の代わりに、日本の伝統的な布(着物・帯・手ぬぐいなど)を
利用した、日本で唯一私が独自に生み出したオリジナルアートの世界です。
これまで30数年間、「布絵」を通して、国際交流活動・福祉活動・布の保存保管活動・
布絵の伝承指導活動に力を注いで参りました。

国際交流活動

オランダ・ハンガリー・チェコ・アメリカ・オーストラリアで「布絵展」を開催し、また日本国内では、各国の大使館邸や国際交流会場に「布絵」を披露いたしまして、日本の伝統的な布や文様等を紹介、説明させていただきました。
以前、私の活動が高い評価をいただいたことから、外務省の飯倉公館のパーティに招待されました。
「布絵」という新しい分野の芸術と、日本の伝統文化が一体となった活動であると賞賛されました。

福祉活動

老人介護施設や病院等に「布絵」を展示し、作品に使用された着物を見て、認知症の方がふと昔を思い出し、治療に役立った話や、寝たきりの方が作品の布が懐かしいあまり、触れたい一心で手を動かす努力をしたり……。
最近は盲人の方には作品を触っていただき、指の感触で「絵」を見てもらう試みも採用いたしました。
「布絵」は、癒しの芸術・治療の芸術でもあると確信しています。

布の保存保管活動

「布絵」の活動を通じ、今一番願うことは、「布の保存・保管」のことです。
現在、代表的な古布、ちりめんは非常に高価な値段で取り引きされている人気の布ですが、その陰では日常生活に密着してお世話になった繻子・モスリン・もみ・生成の胴裏・手がらなどが、どんどん惜しみなく処分されています。
それらの布は10数年後には【佐渡のトキの布版】となり、生産中止や入手不能で「絶滅の布」となると思われます。
「布絵」は失われていく古布の記録・資料・保存となる「保護の芸術」とも言えるのではないでしょうか。

布絵の伝承指導活動

私が独自に生み出した技法を多くの方に伝授し、「布絵」の分野を確立するため、NHKスタジオ内での無料講習会や子供や学生が関心を抱くようにガールスカウトや大学での講習、ユネスコや高校での講演などを積極的に活動してきました。
海外ではオーストラリアにて日本から持参した伝統的な布を提供しながら、布絵の講習会も実施しました。
少しでも多くの方にご協力をいただき、「絶滅の危機である日本の伝統的な布」の活用と、処分から救う手段として活動してきました。
まさしく「布絵」は、未来に残し、そして託す、【伝統のかほり】のする伝承芸術であると自負しています。

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